2023年01月27日
起立性調節障害(OD:Orthostatic Dysregulation)は、小中学生、高校生に多くみられ、起立時にめまい、動悸、失神などが起きる自律神経の機能失調です。人の身体は、起立すると重力によって血液が下半身に貯留し、静脈を経て心臓へ戻る血液量が減少し血圧が低下するので、これを防ぐために自律神経系の一つである交感神経が興奮して下半身の血管を収縮させ、心臓へ戻る血液量を増やし、血圧を維持します。しかし、自律神経の機能が低下した結果、このメカニズムが働かず、血圧が低下し脳血流が減少するため多彩な症状が現れます。この障害は、思春期の子どもの約1割、概算で100万人程度いると言われており、10代前半に発症のピークが見られます。男児に比べて女児に多い傾向があります。また、春から秋にかけて、特に新学期の時期に症状が悪化し、午前中の時間帯に症状が目立ちます。10代前半の好発年齢を過ぎると症状は軽減します。軽症の場合、数ヶ月以内に改善します。
1.立ちくらみ、あるいはめまいを起こしやすい
2.立っていると気持ちが悪くなる。ひどくなると倒れる
3.入浴時あるいは嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる
4.少し動くと動悸あるいは息切れがする
5.朝なかなか起きられず午前中調子が悪い
6.顔色が青白い
7.食欲不振
8.腹痛をときどき訴える
9.倦怠あるいは疲れやすい
10.頭痛
11.乗り物に酔いやすい
(日本小児心身医学会 編:小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン より)
*これらの項目のうち3つ以上当てはまる場合、起立性調節障害が疑われます。
1.学校を休むと症状が軽減する
2.身体症状が再発・再燃を繰り返す
3.気にかかっていることを言われたりすると症状が増悪する
4.一日のうちでも身体症状の程度が変化する
5.身体的訴えが2つ以上にわたる
6.日によって身体症状が次から次へと変化する
(日本小児心身医学会 編:小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン より)
*以上のうち4項目がときどき(週1~2回)以上みられる場合、心理社会的関与ありと判定し、「心身症としての起立性調節障害」と診断されます。
1.起立直後性低血圧
起立直後に血圧低下が起こり、回復に時間がかかるタイプ
2.体位性頻脈症候群
起立後の血圧低下はなく、心拍数が異常に増加するタイプ
3.血管迷走神経性失神
起立中に急激な血圧低下が起こり、失神するタイプ
4.遷延性起立性低血圧
起立中に徐々に血圧低下が進み、失神するタイプ
(日本小児心身医学会 編:小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン より)
規則正しい生活を心掛け、循環血液量を増やすため、十分な水分と塩分を摂取します。心臓へ戻る血液量を増加させるために、毎日30分程度のウォーキングを行うことで、下半身の筋肉量を増加させ、筋肉ポンプの働きを高めることが有効です。漢方薬が著しく効果的な場合もあります。立ち上がる時は頭を下げてゆっくりと起立することも有効です。夜にかけて元気になったとしても、早めの就寝を心がけることも重要です。
当院では起立性調節障害は、自律神経の乱れ、ホルモンバランスの乱れが大きく関わっていると考えています。まずは医療機関で診察・治療を受けた上で、もし経過が思わしくなければ、じょうさい整骨院の実費治療(NTA治療、NTA総合治療)を受診することによって、症状が改善する可能性があります。